Cp・Cpk・Pp・Ppk の違いとは?群内と全体の標準偏差・計算方法をわかりやすく解説
4つの指数の違い
工程能力を表す指数には、Cp・Cpk・Pp・Ppk の4つがあります。違いは、次の2点の組み合わせです。
- どの標準偏差を使うか:群内の標準偏差か、全データの標準偏差か
- 中心の偏りを考えるか:考えない(Cp・Pp)か、考える(Cpk・Ppk)か
| 指数 | 使う標準偏差 | 中心の偏り |
|---|---|---|
| Cp | 群内 | 考えない |
| Cpk | 群内 | 考える |
| Pp | 全データ | 考えない |
| Ppk | 全データ | 考える |
おさらい:Cp と Cpk の考え方
Cp と Cpk は、製品の規格の幅に対して、工程のばらつきにどれだけ余裕があるかを表す指数です。値が大きいほど、規格外れが起きにくい工程といえます。一般に、1.33 以上が目標とされることが多くあります。
- Cp:ばらつきだけを見る。平均が規格の中心にあると仮定したときの能力
- Cpk:ばらつきに加えて、平均が規格の中心からずれていることも考える
計算式や計算例、目安の表は、「Cpk(工程能力指数)とは?計算方法と計算例・目安をわかりやすく解説」で詳しく説明しています。この記事では、もう1つの違いである標準偏差の違いを中心に説明します。
群内の標準偏差と全データの標準偏差
群内の標準偏差(Cp・Cpk)
同じ時間帯に続けて作った製品など、条件がほぼ同じものをまとめたものを「群」といいます。群内の標準偏差は、群の中だけのばらつきから求めた標準偏差です。短い期間のばらつき、つまり工程そのものが持っている「実力」を表します。
主な求め方は次のとおりです。
- 群ごとの範囲(最大値 − 最小値)の平均 を、係数 d2 で割る( ÷ d2)
- 群ごとの標準偏差をまとめて(プールして)求める
- 1個ずつのデータなら、隣り合う値の差(移動範囲)の平均 を 1.128 で割る( ÷ 1.128)
全データの標準偏差(Pp・Ppk)
全データの標準偏差は、群に分けずに、すべてのデータから普通に求めた標準偏差です。日による変化、ロットや材料の違い、段取り替えの影響など、群と群の間のずれも含みます。長い期間で見た、実際の「出来栄え」を表します。
計算式
Cp・Cpk と Pp・Ppk は、使う標準偏差が違うだけで、式の形は同じです。USL は規格の上限、LSL は規格の下限、 は平均です。
Cp = (USL − LSL) ÷ (6 × 群内の標準偏差)
Cpk = 上限側と下限側の小さいほう
上限側 = (USL − ) ÷ (3 × 群内の標準偏差)
下限側 = ( − LSL) ÷ (3 × 群内の標準偏差)
Pp = (USL − LSL) ÷ (6 × 全データの標準偏差)
Ppk = 上限側と下限側の小さいほう
(Cpk の式の標準偏差を、全データの標準偏差に置き換えたもの)
計算例
規格 10.0 ± 0.5(USL = 10.5、LSL = 9.5)、平均 10.1 の工程で、次の結果になったとします。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 群内の標準偏差 | 0.08 |
| 全データの標準偏差 | 0.10 |
群内の標準偏差を使う(Cp・Cpk)
- Cp = 1.0 ÷ (6 × 0.08) = 1.0 ÷ 0.48 = 2.08
- Cpk = (10.5 − 10.1) ÷ (3 × 0.08) = 0.4 ÷ 0.24 = 1.67(上限側のほうが小さい)
全データの標準偏差を使う(Pp・Ppk)
- Pp = 1.0 ÷ (6 × 0.10) = 1.0 ÷ 0.6 = 1.67
- Ppk = (10.5 − 10.1) ÷ (3 × 0.10) = 0.4 ÷ 0.3 = 1.33
同じデータでも、Cpk は 1.67、Ppk は 1.33 になりました。群の中のばらつきは小さいものの、群と群の間でずれがあるため、全体で見ると能力が下がっている、という状態です。
Cpk と Ppk の差から分かること
Cpk と Ppk を両方求めると、工程の状態が見えてきます。
- Cpk と Ppk がほぼ同じ:群と群の間のずれが小さく、工程が安定しています
- Cpk が Ppk より大きく上回る:群と群の間にずれがあります。日による変化、ロットや材料の違い、段取り替えなどが考えられます。工程を安定させれば、Ppk を Cpk に近づけられる見込みがあります
- Ppk が Cpk を大きく上回る:あまり起きません。群の分け方(1つの群に条件の違うものが混ざっていないか)を見直してみてください
群と群の間のずれは、X-R 管理図やX-MR 管理図で確かめられます。
どちらを使えばよいか
目的によって使い分けます。
- 実際にどれだけ規格外れが出るかを知りたい:Ppk。顧客への報告や、出荷する製品の品質の評価に向いています
- 工程を安定させたときの実力を知りたい:Cpk。改善の余地を考えるときに役立ちます
社内や取引先に基準がある場合は、その基準がどちらの標準偏差で定義されているかを確かめてください。たとえば自動車業界の PPAP(量産部品承認プロセス)では、初期の工程調査に Ppk を使う例があります。
日本の現場の「Cpk」と Minitab の Cpk
日本の教科書や現場では、全データの標準偏差を使って求めた値を「Cp」「Cpk」と呼ぶことが多くあります。これは、Minitab などの統計ソフトでいう Pp・Ppk にあたります。
| 標準偏差 | 日本の現場でよく使う呼び方 | Minitab などの呼び方 |
|---|---|---|
| 群内 | (区別しないことが多い) | Cp・Cpk |
| 全データ | Cp・Cpk | Pp・Ppk |
同じ「Cpk」という名前でも、中身が違うことがあります。社内の資料と統計ソフトの結果を比べるとき、取引先とやり取りするときは、どちらの標準偏差を使っているかを確かめ、報告では計算方法も書いておくと誤解を防げます。
Excel で群内の標準偏差を求める
群ごとの範囲から求める方法( ÷ d2)なら、Excel でも計算できます。
- 群ごとに、範囲(
=MAX(…)-MIN(…))を求める - 範囲の平均 を求める(
=AVERAGE(…)) - を、群の大きさ n に応じた係数 d2 で割る
| 群の大きさ n | d2 |
|---|---|
| 2 | 1.128 |
| 3 | 1.693 |
| 4 | 2.059 |
| 5 | 2.326 |
| 6 | 2.534 |
| 7 | 2.704 |
| 8 | 2.847 |
| 9 | 2.970 |
| 10 | 3.078 |
全データの標準偏差は =STDEV.S(…) で求められます。
このサイトのツールで計算する
工程能力(Cpk)計算ツールでは、Cp・Cpk と Pp・Ppk を同時に計算して並べて表示するので、両者の差をすぐに確かめられます。群の大きさを指定すると群内の標準偏差を求め、指定しなければ Pp・Ppk だけを計算します。
群内の標準偏差は、群の大きさが2以上なら群ごとの標準偏差をプールする方法、1なら移動範囲( ÷ 1.128)で求めています。 ÷ d2 で求めた値とは、わずかに違うことがあります。