Cpk(工程能力指数)とは?計算方法と計算例・目安をわかりやすく解説
Cpk とは
Cpk(工程能力指数)は、製品の規格の幅に対して、工程がどれだけ余裕をもって規格内のものを作れているかを表す数値です。値が大きいほど、規格外れが起きにくい工程といえます。
工程の良し悪しは、次の2つで決まります。
- ばらつき:測定値がどれだけ散らばっているか
- 中心の偏り:測定値の平均が、規格の中心からどれだけずれているか
Cpk は、この2つをまとめて1つの数値で表します。
Cp と Cpk の違い
似た指数に Cp があります。違いは、中心の偏りを考えるかどうかです。
- Cp:ばらつきだけを見る。平均が規格の中心にあると仮定したときの能力
- Cpk:ばらつきに加えて、平均の偏りも考える。実際の能力
平均が規格の中心にぴったりあれば、Cp と Cpk は同じ値になります。平均が上限か下限のどちらかに寄るほど、Cpk は Cp より小さくなります。Cp が高くても Cpk が低いときは、ばらつきではなく「中心のずれ」が問題だとわかります。
ヒストグラムで見る工程の状態
測定データのヒストグラムに規格の上限と下限を重ねると、工程の状態がひと目でわかります。規格 10.0 ± 0.5 の工程で、よくある4つの状態を比べてみます。
規格内 規格外れ(薄い色の帯は規格の外側)
- A 良い状態:山が規格の中心にあり、幅も規格に対して十分に狭い状態です。Cp・Cpk ともに 1.67 です
- B 平均がずれている:ばらつきは A と同じですが、山が上限側に寄っています。Cp は 1.67 のままでも、Cpk は 0.83 に下がり、上限を超えるものが出ます。平均を規格の中心に戻す(設備の調整など)のが対策です
- C ばらつきが大きい:山は中心にありますが、幅が広く、両側で規格を超えています。Cp・Cpk ともに 0.83 です。ばらつきの原因を減らすのが対策です
- D ずれもばらつきも大きい:平均がずれ、ばらつきも大きい状態です。Cp は 0.83、Cpk は 0.50 です。ずれとばらつきの両方に対策が必要です
Cp と Cpk を見比べると、問題が「ずれ」と「ばらつき」のどちらにあるかがわかります。Cp が高く Cpk だけが低ければ平均のずれ(B)、Cp も低ければばらつき(C・D)が主な原因です。
計算式
記号は次のとおりです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| USL | 規格の上限 |
| LSL | 規格の下限 |
| 測定値の平均 | |
| σ | 標準偏差 |
Cp = (USL − LSL) ÷ 6σ
CPU = (USL − ) ÷ 3σ(上限側の余裕)
CPL = ( − LSL) ÷ 3σ(下限側の余裕)
Cpk = CPU と CPL の小さいほう
上限と下限のうち、平均に近いほう(余裕の少ないほう)で工程の能力が決まる、という考え方です。
K を使った求め方
偏りの度合い K を使っても、同じ Cpk が求められます。
K = |規格の中心 − | ÷ (規格の幅 ÷ 2)
(規格の中心 = (USL + LSL) ÷ 2、規格の幅 = USL − LSL)
Cpk = (1 − K) × Cp
K は、平均が規格の中心にあれば 0、規格の上限か下限にあれば 1 になります。
計算例
次の条件で計算してみます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 規格 | 10.0 ± 0.5(USL = 10.5、LSL = 9.5) |
| 平均 | 10.1 |
| 標準偏差 σ | 0.1 |
- Cp = (10.5 − 9.5) ÷ (6 × 0.1) = 1.0 ÷ 0.6 = 1.67
- CPU = (10.5 − 10.1) ÷ (3 × 0.1) = 0.4 ÷ 0.3 = 1.33
- CPL = (10.1 − 9.5) ÷ (3 × 0.1) = 0.6 ÷ 0.3 = 2.00
- Cpk = 1.33 と 2.00 の小さいほう = 1.33
平均が上限側に 0.1 ずれているため、Cpk は Cp より小さくなりました。
K を使っても確かめられます。
- K = |10.0 − 10.1| ÷ (1.0 ÷ 2) = 0.1 ÷ 0.5 = 0.2
- Cpk = (1 − 0.2) × 1.67 = 1.33(同じ値)
片側だけの規格のとき
「○○以下」「○○以上」のように、上限か下限の片方だけの規格もあります。この場合、Cp は計算できず、ある側の値をそのまま Cpk とします。
- 上限だけ:Cpk = CPU
- 下限だけ:Cpk = CPL
なお、平均が規格の外にあると、Cpk はマイナスになります。
Cpk の目安
一般によく使われる判断の目安は次のとおりです。
| Cpk | 判断の目安 | 近いほうの規格外れの割合(正規分布の場合) |
|---|---|---|
| 1.67 以上 | 十分すぎる。管理の簡素化やコストの見直しも検討できる | 約 0.00003%(0.3 ppm) |
| 1.33 以上 1.67 未満 | 十分 | 約 0.003%(32 ppm) |
| 1.00 以上 1.33 未満 | まずまず。1.00 に近づいたら注意 | 約 0.13%(1,350 ppm) |
| 0.67 以上 1.00 未満 | 不足。改善が必要 | 0.13%より多い |
| 0.67 未満 | 非常に不足 | ― |
※ 割合は、平均に近いほうの規格の外に出る割合です。
多くの現場では 1.33 以上を目標にしますが、求められる値は顧客や業界、製品の重要度によって違います。取引先の基準がある場合は、そちらに従ってください。
計算するときの注意
Cpk は便利な数値ですが、次の条件がそろっていないと、実際の工程の能力とずれることがあります。
- データの数:少ないと値が安定しません。よく言われる目安は、少なくとも30個、できれば50〜100個以上です
- 分布の形:計算は正規分布を前提にしています。ヒストグラムで、山が1つの左右対称に近い形かを確かめておくと安心です
- 工程の安定:途中で平均やばらつきが変わっている工程では、Cpk の意味が薄れます。管理図で、工程が安定しているかを先に確かめるのが基本です
ヒストグラムツール、X-R 管理図ツールも、このサイトで無料で使えます。
「Cpk」の標準偏差の求め方について
Cpk の計算に使う標準偏差には、2つの考え方があります。
- 群内の標準偏差(短い期間の、群の中のばらつき)を使う
- 全データの標準偏差を使う
日本の現場では、全データの標準偏差で求めた値を「Cpk」と呼ぶことが多くあります。一方、Minitab などの統計ソフトでは、群内の標準偏差で求めたものを Cpk、全データの標準偏差で求めたものを Ppk と呼び分けます。Pp・Ppk の計算式は Cp・Cpk と同じで、σ に全データの標準偏差を使う点だけが違います。このサイトのツールも、この呼び分けに合わせて両方を表示します。社内の基準と比べるときは、どちらの標準偏差を使っているかを確かめてください。
Cp・Cpk・Pp・Ppk の違いや、どちらを使うべきかは、「Cp・Cpk・Pp・Ppk の違いとは?」で詳しく説明しています。
Excel で計算する方法
A2〜A51 にデータ、規格の上限が E1、下限が E2 にある場合の例です。
| 求めるもの | 式の例 |
|---|---|
| 平均 | =AVERAGE(A2:A51)(E3 に入れる) |
| 標準偏差 | =STDEV.S(A2:A51)(E4 に入れる) |
| Cp | =(E1-E2)/(6*E4) |
| Cpk | =MIN((E1-E3)/(3*E4),(E3-E2)/(3*E4)) |
この式は全データの標準偏差を使うので、上で説明した「日本の現場の Cpk」、統計ソフトでいう Ppk にあたります。
データを貼り付けるだけで、Cp・Cpk・Pp・Ppk とヒストグラムをまとめて出したいときは、このサイトの工程能力(Cpk)計算ツールが便利です。登録不要・無料で使えます。